2009年 07月 04日
プチジコケンオのサンバ |
放課後展をやってたときの話。
見に来てくれてたお客さんの中に、どこかで見た事のある人物。
しかしながら、そのシルエットはかなり草臥れた感じの印象。
男の名前は下薗英樹。
僕より少し若い、美術作家である。
彼と知り合ったのはおそらく10年前くらい。
「スキンダイヴ」という、閉校の小学校を使った展覧会で、僕は「ボランティアリーダー」なるバイトをしていて、彼はそこにボランティアとして来ていた学生だった。
その後彼は作家活動をはじめ、画廊等で発表を始める。
形容すると「ネオもの派」とでも呼びたくなる様な、素材をそのまま使ったインスタレーション。
しかしながら、いわゆる「もの派」の作家の重厚感やそのまんまど~ん!感に比べると、キャッチーな部分、いわゆる「フック」が効いていて、見るものに軽やかな印象もあたえる、「気の効いたもの派」という感じで、とても優秀な作家となり、周囲の評価も高く、大きなコンペ等での発表も経て、メキシコなどでも発表、さらにドイツに留学し、家具の勉強を経て、帰国。
僕とは画廊で会ったり、偶然にも回転寿司屋でバッタリ会ったりと、何となくよく会う作家だった。
そんな、僕から見たらなかなか華々しい経歴を経て、最近はあまり会わなくなったのでどうしてるんかな~?
と思ってた人物。
が、草臥れた印象。
で、声をかけて久々に話をしたのだが、その草臥れた印象には、キャリア10年くらいの作家の持つ、「モチベーション問題」とでも言おうか?30代男性に起こりやすい閉塞感というか迷いというか、とにかくそういう雰囲気から来るもののようだった。
この「30代問題」とでも名付けましょうか?
おそらく美術のみならず、キャリア10年くらいの30代の表現者によく起こる、モヤモヤ感。
もちろん、このブログ見れば筆者もそんな感じの真っただ中にあるのは明らかだが、幸か不幸か?
筆者は20代後半の、イキが良くて最も業界や世間が注目する時期に、「完全に売れそびれた」為、
現在は「アイツ今どうしてるかね~」などと言われる対象にもならず、また、先月は「放課後展」のおかげで、少しだけ「何かを成した感」に浸っていられた(単純な奴)だったので、端から見たら、
「このおっさん、ええ歳こいてまだハリキってモチベーション上げとる」
と思われてた感じなのだろう。
迷いやモヤモヤとは無縁な、単細胞作家と思われてたのだと思う。
確かに、華々しい活動ではなく、旬な時期に挫折と屈折にまみれ、不努力と怠慢と弱気で誤摩化してた為「自己実現」に失敗した分、開き直りとあがきとダメ元でこんな事が出来てたと思うのだが。
で、気がつけば周囲はこの「30代問題」に苦しむ(?)同世代も多く、実力のワリに評価が低かったり、安易に言うことを聞かないので「面倒くさいやつ」と干されたり、結婚や就職の現実で筆を折らざるを得なくなったり、おかしくなって逃亡したり、ナイフをふりまわしたり・・・。
とまあ、大雑把に世代で分けるのもナンセンスなんですが、まあ壁やらY字路の前に立ちすくんでる人達も少なくない。
とにかく、久々に再会した彼の「草臥れた感」からそんな事を色々考えてしまったが、僕の方はその時は多少テンションも「イケイケ」なもんだから、
「そんな草臥れた顔せんと、わてみたいなもんでもこんな展覧会できたんやから、君なら大丈夫だっせ!」
みたいな、単細胞な感じで言葉をかけてた。(ような気がする)
・・・前置きが長くなりましたね。
そんな下薗くんが、そわかで久々に個展する、というので昨日見に行ってきました。
久々の個展は、彼の今までやってきた内容の仕事のラインと、ドイツで学んだ家具職人としての制作物、そしてそれをミックスしたような作品、と、現在の彼がしっかり出ている、興味深く、おもしろい展覧会でした。
オープニングでもないのに、テーブルにはそわかさんによる手料理がおかれ、彼を囲む仲間達(主に昔母校の姉妹校、今は全く他人の学校、Oサカセーケー関係)が楽しそうに呑んでいる。
部外者ながら、輪に交わってお呼ばれしてきました。
皆様ごちそうさまでした。
何より、そこに居た下薗くんの表情が、放課後展に来た時のような草臥れ感ではなく、イキイキとしていた。
や、まあ世知辛い30代に世知辛い業界、ではありますが、こいいう優秀な作家が定期的に秀逸な作品を発表できるいい雰囲気な美術業界が訪れる事を、僕ぁ願ってやみません。
・・・といいつつ、金と権力と欲望とゴシップまみれのダーティー業界も嫌いじゃないけどね。
それはそれでリアル。
僕ぁそれを場末で愚痴りながら、凌いでいきたいと思います。
というわけで、
下薗英樹展 ~彼らの記憶~

日時:2009年7月10日(金)~8月2日(日)*金、土、日のみ開廊 12時~19時
会場:sowaka
*現在sowakaさんは金、土、日のみの営業なので、お間違いなく。
今日の鼻歌:
♪あーあーあー いぇーぇえーえー あ~~~ あ~~~~!
♪あー あー あー あー あー あー あー あー ああああーー!
↑こちらは「自分は30前に死ぬだろう」的発言して本当に死んだ人。
私らはまだ生きてますし、生きて行く予定です。
見に来てくれてたお客さんの中に、どこかで見た事のある人物。
しかしながら、そのシルエットはかなり草臥れた感じの印象。
男の名前は下薗英樹。
僕より少し若い、美術作家である。
彼と知り合ったのはおそらく10年前くらい。
「スキンダイヴ」という、閉校の小学校を使った展覧会で、僕は「ボランティアリーダー」なるバイトをしていて、彼はそこにボランティアとして来ていた学生だった。
その後彼は作家活動をはじめ、画廊等で発表を始める。
形容すると「ネオもの派」とでも呼びたくなる様な、素材をそのまま使ったインスタレーション。
しかしながら、いわゆる「もの派」の作家の重厚感やそのまんまど~ん!感に比べると、キャッチーな部分、いわゆる「フック」が効いていて、見るものに軽やかな印象もあたえる、「気の効いたもの派」という感じで、とても優秀な作家となり、周囲の評価も高く、大きなコンペ等での発表も経て、メキシコなどでも発表、さらにドイツに留学し、家具の勉強を経て、帰国。
僕とは画廊で会ったり、偶然にも回転寿司屋でバッタリ会ったりと、何となくよく会う作家だった。
そんな、僕から見たらなかなか華々しい経歴を経て、最近はあまり会わなくなったのでどうしてるんかな~?
と思ってた人物。
が、草臥れた印象。
で、声をかけて久々に話をしたのだが、その草臥れた印象には、キャリア10年くらいの作家の持つ、「モチベーション問題」とでも言おうか?30代男性に起こりやすい閉塞感というか迷いというか、とにかくそういう雰囲気から来るもののようだった。
この「30代問題」とでも名付けましょうか?
おそらく美術のみならず、キャリア10年くらいの30代の表現者によく起こる、モヤモヤ感。
もちろん、このブログ見れば筆者もそんな感じの真っただ中にあるのは明らかだが、幸か不幸か?
筆者は20代後半の、イキが良くて最も業界や世間が注目する時期に、「完全に売れそびれた」為、
現在は「アイツ今どうしてるかね~」などと言われる対象にもならず、また、先月は「放課後展」のおかげで、少しだけ「何かを成した感」に浸っていられた(単純な奴)だったので、端から見たら、
「このおっさん、ええ歳こいてまだハリキってモチベーション上げとる」
と思われてた感じなのだろう。
迷いやモヤモヤとは無縁な、単細胞作家と思われてたのだと思う。
確かに、華々しい活動ではなく、旬な時期に挫折と屈折にまみれ、不努力と怠慢と弱気で誤摩化してた為「自己実現」に失敗した分、開き直りとあがきとダメ元でこんな事が出来てたと思うのだが。
で、気がつけば周囲はこの「30代問題」に苦しむ(?)同世代も多く、実力のワリに評価が低かったり、安易に言うことを聞かないので「面倒くさいやつ」と干されたり、結婚や就職の現実で筆を折らざるを得なくなったり、おかしくなって逃亡したり、ナイフをふりまわしたり・・・。
とまあ、大雑把に世代で分けるのもナンセンスなんですが、まあ壁やらY字路の前に立ちすくんでる人達も少なくない。
とにかく、久々に再会した彼の「草臥れた感」からそんな事を色々考えてしまったが、僕の方はその時は多少テンションも「イケイケ」なもんだから、
「そんな草臥れた顔せんと、わてみたいなもんでもこんな展覧会できたんやから、君なら大丈夫だっせ!」
みたいな、単細胞な感じで言葉をかけてた。(ような気がする)
・・・前置きが長くなりましたね。
そんな下薗くんが、そわかで久々に個展する、というので昨日見に行ってきました。
久々の個展は、彼の今までやってきた内容の仕事のラインと、ドイツで学んだ家具職人としての制作物、そしてそれをミックスしたような作品、と、現在の彼がしっかり出ている、興味深く、おもしろい展覧会でした。
オープニングでもないのに、テーブルにはそわかさんによる手料理がおかれ、彼を囲む仲間達(主に昔母校の姉妹校、今は全く他人の学校、Oサカセーケー関係)が楽しそうに呑んでいる。
部外者ながら、輪に交わってお呼ばれしてきました。
皆様ごちそうさまでした。
何より、そこに居た下薗くんの表情が、放課後展に来た時のような草臥れ感ではなく、イキイキとしていた。
や、まあ世知辛い30代に世知辛い業界、ではありますが、こいいう優秀な作家が定期的に秀逸な作品を発表できるいい雰囲気な美術業界が訪れる事を、僕ぁ願ってやみません。
・・・といいつつ、金と権力と欲望とゴシップまみれのダーティー業界も嫌いじゃないけどね。
それはそれでリアル。
僕ぁそれを場末で愚痴りながら、凌いでいきたいと思います。
というわけで、
下薗英樹展 ~彼らの記憶~

日時:2009年7月10日(金)~8月2日(日)*金、土、日のみ開廊 12時~19時
会場:sowaka
*現在sowakaさんは金、土、日のみの営業なので、お間違いなく。
今日の鼻歌:
♪あーあーあー いぇーぇえーえー あ~~~ あ~~~~!
♪あー あー あー あー あー あー あー あー ああああーー!
↑こちらは「自分は30前に死ぬだろう」的発言して本当に死んだ人。
私らはまだ生きてますし、生きて行く予定です。
by kiuchism
| 2009-07-04 23:55
| アートピック